

~ゴーシュは町の活動写真館でセロを弾く係でした。けれどもあんまり上手でないという評判でした。
上手でないどころではなく 実は仲間の楽手のなかではいちばん下手でしたから、 いつでも楽長にいじめられるのでした。~
原作:宮澤賢治 台本・作曲:林光 演出:加藤直 美術:池田ともゆき 衣裳:太田雅公
照明:成瀬一裕 振付:伊藤多恵 演出補:大石哲史 舞台監督:久寿田義晴
演奏会をひかえたある日、いつものように楽長にしかられたゴーシュ。
その晩遅く、住んでいる水車小屋にもどり、水をごくごくのんでから猛練習をはじめた。すると扉をとんとんと叩いてやってきたのは、三毛猫。おみやげまで持って。
さて、その晩から、次々にいろいろな動物がやってきては、ゴーシュの練習のじゃまをしていきます。猫はトロイメライを弾いてくれ、と言います。かっこうはドレミファを教えてくれ、と言います。狸の仔は、自分は小太鼓の係だから、とゴーシュとにわかの二重奏。
そして野ねずみの子の病気は、ゴーシュのごうごう弾くセロの音で治るのでした。 演奏会当日、人々は見ちがえるようなゴーシュの演奏に出会います。
「おもしろがせ はげましてくれる オペラを 」 林光
『セロ弾きのゴーシュ』は、六人の歌い手と一台のピアノとでものがたるオペラ。 六人は、ゴーシュ、楽長、ねこ、かっこう、仔だぬき、野ねずみのおっ母さんの役を、それぞれ受けもつだけでなく、語り手をつとめたり、風や、ゴーシュや動物たちの内心の声を表したりして、ものがたりを進める。
オペラ『セロ弾きのゴーシュ』でうたわれることばの98%は、宮澤賢治の原作そのままで、これはこのオペラのおおきな特徴となっている。あの、「ああくたびれた、なかなか運搬はひどいやな」というねこのせりふはじめ、いちど読んだら忘れられない賢治コトバのたのしさを、まるごとオペラにしたいというのが、ぼくの夢だった。そのいっぽうで、のこる2%では、読むおはなしとはまたちがう、ドラマの世界を展開させるために必要な変更を、だいたんにおこなった。
「一」でオーケストラが練習し「六」で発表演奏する「第六交響曲」をシューマンの『第三交響曲』にしたこと、「四」で仔だぬきが持ってくる曲を「愉快な馬車屋」ではなく沖縄のわらべうた『てぃーちでぃーる』にしたこと、おなじく「四」のおわりのほうで仔だぬきが賢治の詩による『あまのがは』を歌うこと、「五」でゴーシュがひく「なんとかラプソディー」を、賢治の詩『原体剣舞連(はらたいけんばいれん)』に曲をつけたものに変えたこと。
中学生のときからずっと、宮澤賢治の作品はぼくをこころからたのしませ、おもしろがらせ、そしていつのまにかはげましていてくれていた。このオペラもまた、観てくださるみなさんにとって、そのようなものであったらと、こころからねがっている。
公演についてはこんにゃく座までお問い合わせください